25.本当に必要なお金の決め方
経済・政治の「小波」が、中小企業の一社にとっては「荒波」となることが多々あります。その意味では、「現預金はいくらあっても良い」というのが正解。
「余剰資金」などという考え方は中小企業にはあてはまりません。借入に頼らなくとも、利益が十分に出ていて現預金が余って仕方がない、という会社を除いて、「資金が余っている」と考えるのは単なる「油断」です。気を付けましょう。
ちなみに経営に必要な最低限度の運転資金は、「売掛金+棚卸資産‐買掛金」という式で一応は求められます。
試算表から求めた場合、「月末残高」ベースで計算されることになりますので、実際にはこれよりも必要な資金は多くなるのが一般的です。
これを下回ると会社が回りません。また、売上が増加傾向にある場合、「売掛金+棚卸資産‐買掛金」も大きくなる、つまり、最低限持っていなければならない資金も増加します。
その意味では、一般的に売り上げが上がれば上がるほど、お金が足りなくなりますので、早めに手を打つことが大切です。
特にV字回復を遂げた企業の場合、「赤字で資金不足なのではないか」と疑われないためにも、こまめに試算表で銀行に状況説明する必要があります。
さらに、見かけ上現預金があるからと言って、運転資金で設備投資をしてしまうなどということは絶対に避けてください。これが「油断」の典型例です。面倒でも、絶対に設備資金で借入を行って下さい。
「自己管理できない=計画性なし」
ととられかねません。
とにかく、「経営分析」の教科書通りの「適正有利子負債」という考え方は、中小企業には当てはまりませんので、鵜呑みにしないように気を付けてください。