9.正しい銀行との付き合い方
まずは逆に正しくない銀行との付き合い方の典型例を示します。
「一度借入をしたら、決算書こそ提出するものの、特に連絡も取らず、預金残高が足りなくなった頃に慌てて銀行に連絡をする。」
意外とこのような企業が多く、非常に勿体ないと思っています。
「借入する=決算書・試算表を見てもらえる権利を得る」ということだと考えて下さい。
少なくとも決算が終ったら決算書を単に担当者に渡すだけではなく、社長が支店に出向いて決算報告をする。
また、半期に一度は試算表を担当者に渡して概況を説明するようにしましょう。
借りたくなった時に、担当者に慌てて「支店長にご挨拶がしたいのだけど」などと取り次いでもらい、「頭越しに融資をお願いする」という姿勢は、担当者のメンツをつぶすることになりますし、「社長自らがお願いにくるなんて、そんなに不味い状況なのか?」と、足下を見られるだけです。
「借りたい時には担当者に来てもらう」
これが基本です。
逆に決算報告に社長が出向く時には、ちゃんと「支店長・審査担当者とも挨拶をしたい」と担当者に意向を伝えておきましょう。
特に審査担当者はあまり支店を出る事がありませんので、支店に出向いて直接会社の概況と業績をアピールするようにしたいところです。
銀行とのお付き合いのためのちょっとしたコツ
チョットしたコツですが、訪問の時間はできれば午前中にして下さい。なぜなら、午後は15時近くになると、銀行も忙しいからです。
また銀行では、支店運営は支店長が絶対の権限を握っているので、支店長が変わるとまるで銀行が変わったかのようになります。
さらに、ほぼ引継ぎなく支店長・担当者が変わります。
これは不正防止の仕組み上仕方がないことなので、そこに腹を立ててはいけません。対等に付き合う為、また、リスクヘッジの為にも借入は複数金融機関からするべきです。
最後に、「保険や外貨預金などを付き合って下さい」と言われた場合、判断が難しいところですが、やはり人と人との付き合いなので、「優越的地位の濫用だ」などと怒らずに、応じられる範囲で応じることも必要だと思います。
コレをしておくと銀行が貸付けしたい時期を連絡してくれる?
狙いたいのは、「これでもか!」というほど、自社の情報や計画や予定を銀行に渡しておいて、「銀行さんに貸したい時期を示してもらえる」という状態を作る事です。
「社長、そろそろ資金が要り用なのではありませんか?」
と言ってもらえる。これは大企業だけのことでありません。
銀行にとっての優良企業は、「①お金を持っていて」、「②他の銀行が貸したがっていて」、「③計画性があって計数管理ができている」企業なのです。
もちろん利益を出している前提ではありますが、大企業である必要はないのです。