4.どのような流れで融資を受けられるのか
手続き的なことで言えば、①申込み→②審査(+面談)→③契約→④実行(入金)という流れになります。
実際は①の前に融資係との打合せが入るのが一般的です。
融資係の来訪が借入の成否を決める?
脅すわけではありませんが、融資係が会社に来てくれるか、「支店(窓口)に来てくれ」と言われるかで、融資が受けられるかどうかが決まります。
感覚的には、後者の場合、7割くらいの確率で融資実行はないのではないかと思います。つまり、融資係に来てもらえるかどうかの時点で既に勝負が決まっているということです。
もちろん、融資係に来てもらったからと言って、融資が下りるということではありません。あくまでもスタート地点に立てるかどうかの問題です。
ちなみに既に取引がある場合には、融資担当が来てくれないということはほとんどありません。
融資係との面談に必要なもの
融資係との面談時には、初回取引であれば3期分の決算書、定款、登記簿謄本、許認可事業であれば許認可証を、すでに取引があるならば直近の決算書を用意しておきます。
できれば3期分の推移を示したビジュアルデータを準備し、また、大づかみで結構ですので、推移の理由を説明できるようにしておきたいところです。
続いて、融資担当との面談では、試算表をベースに概況を説明して、資金使途と大まかな融資希望額を伝えて、その感触をつかむという段取りになります。
この時点で融資担当は審査をする訳ではありません。
融資係というのは、いわばこれから融資実行までのコンシュルジュを務めてくれる人になります。
ですから、融資係との関係をうまく構築することは非常に重要です。
"出来る"社長の面談対策
できる社長はここでパワーポイントを使って自社の概要と融資に必要なプロジェクトの概要を説明しています。
「パワーポイントで事業計画をプレゼン」、ハードルは高いのですが、中小企業にはプレゼン能力の高い社長が少ないので、中小企業群から頭一つ抜け出すことが可能です。
ここでうまく説明をして「融資係が稟議書を書きやすくする」というのは、非常に大切なポイントです。
更に、決算書に載らない簿外資産(例えば保険の解約返戻金)がある場合には、実際の数値を交えて、ここでアピールしておくことを忘れないでください。
後になって、融資係から「書いてください」と要求される書類が多ければ多いほど、融資の実行可能性が低くなるのが一般的です。
こちらに要求される書類が多いのは、美味しい取引でないのでモチベーションが上がらない、または、融資係に融資理由のイメージがしっかり湧いていないということです。
融資係にイメージがしっかりと湧いていれば、融資係が自ら書類を作成して、有利に稟議が進むようにしてくれますので、ここを狙いたいところです。
また、繰り返しますが、融資係は審査を行うわけではないので、「これを言ったら不利になるのでは...」と、変に隠し立てしたりしないことです。
逆に、多少不利な点があったとしても、融資係が味方になってくれていれば、それをカバーする代替案を教えてくれるものです。
また面談の時点で、決算書に審査で引っかかりそうな点があれば、この時に質問されます(あくまでも審査係への説明のため)。
役員貸付金や仮払金などがその代表例です。融資係のイメージが湧きやすいように、豊富な「ビジュアル+裏付け数値資料」を準備しておくことをお勧めします。
融資係との面談が終わると、融資申込書に印鑑を押して、あとは審査を待つということになります。
審査が開始されたら...
審査の過程においては、色々と質問を受けます。
具体的には審査係が融資係に質問をして、融資係に説明ができない点、または、補強しておきたい点を埋めるための資料を請求されます。
大体のやりとりは電話で行われます。
即答の必要はありませんので、わかないことは調べて折り返しで問題ありません。一度は融資係のフィルターを通ることになりますので、融資係が味方にさえなってくれていれば、有利な回答を導き出してくれます。
審査が終わると無事「契約」。この時点では印紙と印鑑証明書が必要になります。そして、融資実行日の調整をして、「実行」という流れになります。